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札幌地方裁判所 昭和61年(わ)1095号 判決

本店所在地

札幌市南区澄川五条三丁目二番二七号

法人の名称

株式会社 札幌道栄建設

代表者の住居

札幌市南区澄川五条三丁目二番二七号

代表者の氏名

武田清

本籍

札幌市南区澄川五条三丁目一九五番地の一九

住居

札幌市南区澄川五条三丁目二番二七号

会社役員

武田清

昭和六年二月二六日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官北原一夫出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社札幌道栄建設を罰金二〇〇〇万円に、被告人武田清を懲役一年二月にそれぞれ処する。

被告人武田清に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社札幌道栄建設(以下、被告人会社という。)は、札幌市南区澄川五条三丁目二番二七号に本店を置き、建築設計・施行請負管理等を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人武田清は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人武田清は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五七年二月一日から昭和五八年一月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が六〇六七万五二九六円であり、これに対する法人税額が二六八六万八九〇〇円であったにもかかわらず、同年三月三一日、札幌市豊平区月寒東一条五丁目三番四号所在の所轄札幌南税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一〇三五万四七八二円であり、これに対する法人税額が三一一万七九〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限である同日を徒過させ、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額二三七五万一〇〇〇円を免れ、

第二  昭和五八年二月一日から昭和五九年一月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が七三四三万八二四一円であり、これに対する法人税額が三三二六万一三〇〇円であったにもかかわらず、同年三月三一日、前記札幌南税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一四三三万六一七七円であり、これに対する法人税額が四八九万〇五〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限である同日を徒過させ、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額二八三七万〇八〇〇円を免れ、

第三  昭和五九年二月一日から昭和六〇年一月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が七〇九九万五二七二円であり、これに対する法人税額が三五五〇万三六〇〇円であったにもかかわらず、同年四月一日、前記札幌南税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一七六二万一〇〇八円であり、これに対する法人税額が六四三万四三〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限である同日を徒過させ、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額と右申告税との差額二九〇六万九三〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人会社代表者・被告人武田清の当公判廷における供述

一  被告人会社代表者・被告人武田清の検察官に対する供述調書二通

一  被告人会社代表者・被告人武田清作成の上申書

一  武田保子及び宮越淳子の検察官に対する各供述調書

一  検察官作成の捜査報告書

一  検察官作成の電話聴取書

一  大蔵事務官作成の脱税類計算書

一  大蔵事務官作成の売上高調査書、期首商品棚卸高調査書、仕入高調査書、賃金調査書、外注費調査書、期末商品棚卸高調査書、福利厚生費調査書、支払手数料調査書、諸会費謂査書、接待交際費謂査書、旅費交通費調査書、事務消耗品費調査書、消耗品費調査書、現場経費調査書、雑費調査書、租税公課調査書、賃借料調査書、事業税認定損調査書、交際費等の損金不算入額調査書、受取利息調査書、雑収入謂査書

一  札幌法務局登記官作成の登記簿謄本

一  大蔵事務官作成の領置てん末書

一  押収してある法人税決議書綴一綴(昭和六一年押第二六七号の1)

判示第一及び第二の各事実について

一  石井哲哉の大蔵事務官に対する質問てん末書

判示第三の事実について

一  藤谷佳樹の大蔵事務官に対する質問てん末書

(法令の適用)

被告人武田清の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、その刑期の範囲内で同被告人を懲役一年二月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

次に、被告人武田清の判示各所為はいずれも被告百人会社の代表者としてその業務に関してなされたものであるから、被告人会社については、法人税法一六四条一項により、同法一五九条一項の罰金刑を科し、なお免れた法人税の額が五〇〇万円を超えるから、情状により同法一五九条二項を適用することとし、以上は、刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算した金額の範囲内で、被告人会社を罰金二〇〇〇万円に処することとする。

(求刑 被告人会社につき罰金二五〇〇万円。被告人武田清につき懲役一年二月。)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 嶋原文雄)

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